神智学 教えの紹介(3―12)
神智学協会は、いかなる特定の宗教、宗派にも属していない、独断的教義ない的な組織です。神智学協会の目的は、人類の団結、文化の理解、自己の発展に捧げられており、神智学協会の人々を共に結びつけ、東洋と西洋における各々の宗教、哲学を和解させ、すべての人類の中に内在している内的感覚を目覚めさせることを目的としています。
○神智学協会の歴史
神智学協会は、1875年、米国ニューヨーク市にて設立されました。神智学協会の創設者は、米国に初めて帰化したロシア人の女性、ヘレナ・ペトロヴナ・ブラヴァツキー夫人と、著名な弁護士で、ジャーナリストでもあったヘンリー・スティール・オルコット氏です。オルコット氏は神智学協会の第一代会長となりました。
ブラヴァツキー夫人はロシアの貴族の家柄の出身で、ブラヴァツキー夫人の母は社会小説家で、祖母は熟練したアマチュアの科学者でした。ブラヴァツキー夫人は若かりし時、生命の性質と人間の存在する理由を求めて世界各地を旅しました。最終的にブラヴァツキー夫人は東洋と古代の西洋の秘儀の霊的智慧を、これらのことがらに無知であった現代の西洋社会にもたらしました。ブラヴァツキー夫人の数々の著作は、現代神智学を最初に説明した著作となりました。
オルコット大佐(神智学協会初代会長)は南北戦争の退役軍人であり、南北戦争中は軍隊内部の汚職を摘発する特別調査官でした。南北戦争後は、リンカーン大統領の暗殺を調査する委員会のメンバーでありました。オルコット氏は国際的に著名な農業の権威でもありました。オルコット氏は神智学の永遠の智慧を、東洋と西洋の文化と結びつけ、また日々の生活にも結びつけました。そして神智学協会を国際的な組織へと拡大しました。
ブラヴァツキー夫人、オルコット氏と協調して活動したのは、ニューヨークの若き弁護士であるウイリアム・クアン・ジャッジ氏とブラヴァツキー夫人の教えに興味を持った数人の人達でした。これら人達の中には、伝説的な野球の創設者であるアブナー・ダブルディ将軍、後の発明家、トーマス・エジソン氏などがおりました。
1879年には、神智学協会の主要な創設者であったブラヴァツキー夫人とオルコット大佐がインドへと移住しました。そのインドの地で神智学協会は急速に発展しました。1882年には、神智学協会の国際本部がマドラス(チェンナイ)近郊のアディヤールに設立されました。その国際本部は現在でも活動を継続しています。ブラヴァツキー夫人とオルコット氏はスリランカを訪問し、スリランカの抑圧されていた仏教徒たちの中で社会福祉活動を活発に推進しました。現在でもオルコット氏はスリランカの国民的英雄です。今日、神智学協会は世界の70ケ国に会員がおります。
米国における神智学協会の運営センターは、イリノイ州のウィートンに位置しており、神智学協会の創設者にして初代会長のオルコット氏に敬意を表して、「オルコット・センター」と呼ばれています。米国では主要な都市におよそ130の支部と学習センターがあり、活発に神智学協会の活動を推進しております。かなりの数の神智学協会会員が直接、イリノイ州ウィートンの米国神智学協会に加盟しております。
○神智学協会の目的と神智学協会の哲学
神智学協会は、いかなる宗教、宗派にも属しておらず、またいかなる政治的団体にも属しておりません。また神智学協会には、独断的教義はありません。神智学協会の三つの目的は、
人種,信条,性別,階級,皮膚の色の相違にとらわれることなく,人類の普遍的同胞愛の中核となること。
比較宗教,比較哲学,比較科学の研究を促進すること。
末だ解明されない自然の法則と人間に潜在する能力を調査研究すること。
神智学協会は、神智学協会の目的を承認し、同胞団の形成を推進することに奉仕し、宗教、人種間の理解を発達させる努力によって結合した人達から構成されています。神智学徒達を結びつけるきずなは、真理の研究と真理への熱望であります。神智学徒は、真理は研究、内省、奉仕によって求めるべきものであって、権威によって独断的教義として押し付けられるべきものではないという考えています。
神智学徒は、信仰することをを単に伝統的概念を受け入れていくことととらえるよりも、個人の研究、経験、洞察の結果であると考え、また、信仰は主張よりも知識に根拠を置くべきであると考えます。神智学徒はあらゆる宗教を、その時代と場所の必要性により受け入れられた、神聖な智慧の表現と見て、様々な宗教を非難することよりも研究することを選び、改宗を強いることより実践することを選びます。平和は私達の合言葉であり,真理は私達の目的です。
神智学は、全宇宙は生きており相互に関係しているという哲学を提供します。神智学の哲学は、すべての生命の周期的進化を導く知性のある秩序と体系を主張します。神智学は、全宇宙が進化している彼方にゴールがあり、そこに存在することの目的があると認めています。神智学は、死を無限の生命の中でくり返されるできごと,つまりより完全な輝しい存在への門を開くできごとと解釈して,死の正当な意味を教えます。神智学は、我々の体、感情、精神、直観はすべて我々の内なる性質の側面であり、正しい生活が自分の内側と自分を取り巻く世界との調和とバランスにおいてよい結果をもたらすと教えます。
神智学協会は、会員の個人の思考の自由を主張します。神智学協会に加わる人達は、自分の信仰する教えを放棄することを強要されることはありません。いかなる人物によって主張された独断的教義、意見であっても、決して神智学協会の会員を束縛することはありません。すべての神智学協会会員は、この思考の自由という基本的原則を守り、これに沿って活動することが求められます。さらに他の人への礼儀と思いやりの範囲の中で、自らの思考の自由の権利を恐れることなく行使することが求められます。
神智学協会は、神智学と呼ばれる智慧の教えが独占されるものではないと主張します。なぜなら智慧の教えは制限できないものであるからです。神智学協会の会員は、神智学の教えを常により完全に理解しようと努めます。神智学協会の目的に共感する人はすべて神智学協会の会員として歓迎されます。
○神智学の諸原則
神智学が考察のために提示する基本的概念をいくつか、以下に示します。
宇宙に広がり、宇宙を維持している唯一の大生命。
宇宙は、人間の理解の範疇を越えた永遠で、際限のない、不変の実在の顕現である。
物質と意識(霊)は、究極的実在の両極であり、この究極の実在の相互作用が、宇宙の顕現と隠滅という永遠の周期という形で、無数の宇宙を進行していく。
内在され、超越している知性は、すべての自然法則の基礎である。「神は法則である」ブラヴァツキーの言葉
肉眼で観察できる可視の宇宙は、宇宙の最も濃密な部分にすぎない。全体の宇宙は、物質世界を貫いている極めて稀薄な物質でできた不可視の諸世界を含んでいる。
可視と不可視の宇宙の全システムは、進化の大いなる計画の光景である。この宇宙において生命は、ものごとをより良く表現することか可能な形体を持つ方向に、より敏感に反応する意識を持つ方向に、より統一した意識の方向に進化している。
人間の意識(霊または魂と呼ばれる)は本質的には、エマーソンが「超魂」と名づけた、唯一の至高の実在と同一である。この唯一の至高の実在は、我々個々の特別な存在を含んでいるものであり、そして我々を他の者と結びつけているものである。
我々の中に潜在している神聖な実在は、自然のあらゆるところに見受けられる周期の法則の一面である転生(生まれ変わり)の過程によって、また休息と同化を繰り返す活動の周期によって、徐々に顕現してくる。
「自らが蒔いた種は、自らが刈り取らねばならない」と聖パウロと言う。これはカルマの法則(因果応報の法則)である。このカルマの法則により、私達は、いくつもの時代を通して自らの運命を織りなしている。これは、人類にとって大きな希望である。なぜなら、カルマの法則(因果応報の法則)が、我々に対して現在行なうことがらによって、自分の未来を創造する更なる機会を与えてくれるからです。
人間魂の巡礼の旅は、唯一の神聖な実在の中にある我々の源泉から始まり、多くの経験を経て、唯一の神聖な実在との合一に戻ります。このように我々のゴールは、自らの意識を完全に開花させ、宇宙の顕現の周期を完成することです。人間魂の巡礼の旅が完成した時点では、意識と物質の間もしくは自己と他者との分離というような分離された極性はもはや存在せず、内的な合一と我々の共通の源泉を通じて、他の存在と合一した状態が存在します。この理解こそが啓明である。
さらに読むための推奨書籍
『神智学 絶えず変化する不変性』 ウイリアム・ピム著(未邦訳)
『古代の智慧と現代の洞察』 シャーリー・ニコルソン著(未邦訳)
『覆いをはがれたイシス女神(アイシス・アンヴェールド)』 ブラヴァツキー著(未邦訳)
『人生、あなたの大いなる冒険』 フェリックス・レイトン、ユーニス・レイトン著(未邦訳)
『神智学』 ロバート・エルウード著(未邦訳)
|
|